スマホが普及し始めてから長らく論争のネタとなっていることの一つとして挙げられている『AndroidとiPhoneはどっちが優秀か?』について今回は偏愛ガジェットなりに考察していく。
比較対象にした各スマホレビューはこちら
前置き
第3の勢力
今回の比較ではAndroidとiPhoneの対決に止めるのではなく、あくまでも日本市場において第3の勢力として十分に機能しているであろう今日のGoogle純正スマホである「Pixel」シリーズを参戦させた三つ巴の比較を行う。
スマホ業界勢力
今回の記事を進めていく上であらかじめ日本においてのスマートフォンシェアを知っておいた方がわかりやすいだろう。
現在の日本市場のスマホには主に「iPhone」、「ピュアAndroid」、「カスタムAndroid」、「Huawei(ファーウェイ)」の4つの勢力が存在している。iPhoneを除いた3つは現状全てがAndroid OSを搭載した所謂Androidである。
以下が関係性をイメージした図である。
※図内の勢力のサイズは市場規模を模したものです。実際の規模比とは異なります。
※BlackBerryは現在Android傘下に置かれています。
その中でもHuaweiはご存知の通りアメリカからの制裁でGoogleが提供するサービスの恩恵を受けられなくなったことで独自路線を行かざるを得なくなた存在で、現状中国以外ではほとんど繁栄していないため今回の比較では除外することにする。
Androidのメリット・デメリット
世界的にも日本にも最大のシェアを誇る。ここでのAndroidはカスタムAndroidのことを意味するものとする。
上記表では便宜上あたかも一つの組織のように表記はしているが、実際は多数の企業によって構成されており、その中でも熾烈な勢力争いや性能バトルが行われているため、かなり分類として意識が高い集団。
そんなAndroidの長短は以下の通り。
メリット
- 高い拡張性を誇り、様々なニーズに応えた設定が用意されている
- 豊富なアプリ数を誇る
- 2画面表示
- 1台で2アカウントのSNSアプリ
- 対応している範囲でなら回線運用に障害が発生しない
高い拡張性を誇り、様々なニーズに応えた設定が用意されている
よく主要な競合相手であるiPhoneと比較される上で最も有力なメリットの一つ。例えばキーボードの矢印キーの有無や数字列の表示などの設定項目から好みの形態にカスタムができるといった感じに使用者に応じて適宜好みの通りに設定が可能になっている。
また、開発者オプションを有効にすることで追加の隠し設定にアクセスが可能となりその幅がさらに広がる。
他、アプリのインストールでより多くの機能を追加することも可能。
豊富なアプリ数を誇る
上記同様よく比較される上で有力な長所の一つ。標準インストールされているGoogle Play Storeには超多数のアプリが登録されておりその中で使うだけでも十分使えるが、ウェブ上に配布されている野良アプリを自分の責任のもとでインストールして使うことができる。(AnTuTu Benchmark、Epic Gamesなどが有名か)
2画面表示
設定によって画面を2分割して2つのアプリを同時に使用可能な機能。(一部アプリは対応していない)よく使われる方法として「YouTubeなどの動画サイトとウェブ検索の同時進行」「YouTubeのバックグラウンド再生」がある。
1台で2アカウントのSNSアプリ
一部のブランドで対応している機能。LINEなどの基本的に1スマホあたり1アカウントまでしか運用できないSNSサービスを端末内で複製して第2のアカウントを使用可能にすることができる。基本的には無用な機能だが仕事とプライベートで共通のアカウントを使いたくないという需要に応えてくれる嬉しい機能。
対応している範囲でなら回線運用に障害が発生しない
iPhoneやPixelシリーズと違って対応バンドが当てはまっていれば基本的にどんなSIMでも制限なくその機能を使用することができる。
デメリット
- 仕上がりがピンキリ
- ソフトウェアサポート期間が短い
- 自己責任が試される
- 対応アクセサリーが少ない
- 使用できるアプリのジャンルに偏りがある
仕上がりがピンキリ
作っている企業が多いということは想定しているニーズ、歩留まり、ソフトウェアの完成度などで当然の如くばらつきが発生する。ニーズが違うことによってサイズ、カメラ、バッテリー、タフネスなどにかなりの違いが発生し、発展途上のメーカーによって不安定な端末が生まれ、メーカーの性格がそのままソフトウェアに顕著に現れる。
だからと言って自分にとってのハズレ端末を引き当てて「Androidはクソだ!」と一色端で評価することはやめよう。
ソフトウェアサポート期間が短い
Androidという括りの中でも多数の企業が切磋琢磨しているためAndroidデバイスは進化速度が非常に速い。その弊害として昨日までは最新機種だったものもあっという間に時代遅れの端末となり、1〜2年でソフトウェアアップデートのサポート期間が切られてしまう。
自己責任が試される
メリットの方でも解説した通り、野良のアプリを自由にインストールできたり事細かな設定をすることができる。その弊害としてセキュリティや予期せぬ不具合に直面する確率が高くなる。直面する問題に対して自力で対処できないようであればこの先生きのこれない。
対応アクセサリーが少ない
ソフトウェアサポート期間が短いの項目でも述べたが、進化が激しいために同企業、同シリーズでも端末の形状の変化の頻度が多い、種類が多いという理由からケースなどの入手できるアクセサリーが少ない。AliExpressなどで輸入することで多少補うことはできるが、それでも少ないのが現状である。
使用できるアプリのジャンルに偏りがある
市場に並んでいるアプリ数が多いことには多いが実はジャンルは「ゲーム」「エンターテイメント」などの売れるコンテンツにのみ偏っている。
そのためクリエイター向けアプリなどの比較的ニッチなアプリほど選択肢が少ない、または存在しないという結果が待っている。
iPhoneのメリット・デメリット
iPhoneは世界にスマートフォンという新ジャンルを築いた立役者。今では台頭するスマホブランドが乱立しているが未だに多くののスマホメーカーに意識される存在。
そんなiPhoneのメリット、デメリットは以下の通り。
メリット
- 完成されたビジュアル
- 比較的安全かつジャンルの偏りの少ないAppStore
- OSサポートが長い
- アクセサリーが豊富
- 絶対に困らない処理性能
- マニアに嬉しいやり込み要素
完成されたビジュアル
ある意味で一番先に飛び込んでくるiPhoneの印象である。いつも変わらないデザイン、どのモデルでも金属部分の仕上げにはムラがほとんどなく質感が高さがある。
比較的安全かつジャンルの偏りの少ないAppStore
Apple製品といえばクリエイターユーザーが多いことでも有名だが、その需要に応えるためなのかカメラ、画像、動画、DAWアプリなどが多数用意されており、そのほかにも限定対応のSNSアプリなども存在している。
またアプリ一つひとつがAppleによって審査されているためよほどAppleの見落としがない限り脅威を含んだアプリがiPhoneにインストールされることがない。
OSサポートが長い
基本的にiPhoneシリーズは規格が統一されているためソフトウェアアップデートの供給が比較的容易である。そのためなのかiOSのアップデートは平均で5年ほどサポートされている。
アクセサリーが豊富
上記同様機種の規格が統一されているためアクセサリーの量産が容易に行えるため多くのアクセサリーメーカーがiPhone専用のアクセサリーを製造している。そのため自分好みのアクセサリーを選べるだろう。
絶対に困らない処理性能
iPhoneは値段に差異があれども最新機種さえ買っていれば全てにハイエンドCPUが搭載されている。そのため動作速度にはストレスを感じにくい。
マニアに嬉しいやり込み要素
iPhoneといえばジェスチャ機能が豊富に用意されていることでも有名である。(今でこそAndroidでも再現されているが)その中でも使い込んでいないと気づきにくいものやマニアが紹介していたのを見て初めてわかるようなマイナーなものが存在する。そのため覚えれば覚えるほど新たな発見ができる喜びがある。
デメリット
堅実さ重視なためロマンが少ない
iPhone自体は全てが無難なラインに落ち着いた性能なため使う相手をあまり選びにくいというメリットは持ち合わせているのだが、その代償として最新のハイエンドAndroid機種に比べると挑戦性やロマンという面では物足りない性能になってしまっている。
パンチホール、画面内カメラや画面内指紋認証が主流になっているAndroid機種と比べても相変わらず大型ノッチによる高精度の顔認証を優先しているのもこの良い例えである。
ハードウェア性能が低い
意外と誤解されがちな項目だが、実はiPhone自体のハードウェア性能はチップセットを除いて主なライバル機と比べてもあまり性能が高くない。カメラセンサー、バッテリー、RAM、ストレージなどが比較的有名。その事実に気づきにくいのはiOSの最適化が優秀だからである。
iOSは融通が効きづらい
Android機種に比べて設定項目だけでもユーザーの好きな通りに設定するには難がある。ジェスチャで補えなくはないが慣れないと使いづらいとこには変わりない。
Appleエコシステムは優秀だが…
AirDrop、HandoffなどのApple製品同士の連携機能とiCloudなどのAppleのエコシステムは優秀だが、単機での運用となるとその強みがあまり活かせず終い。おまけに世界一普及しているパソコン用OSのウィンドウズとの互換性は悪い。
Lightning
みんな大好きLightning。一部のApple製品としか使い回しが効かないし、実用範囲もモバイルデバイスで主流となっているUSB Type Cと比べてかなりの見劣りがある。
重い
使っている素材とサイズの割には何故か重い。
Google Pixelのメリット・デメリット
旧Nexusシリーズの事実上の後継ブランド。Android界隈でも言い出しっぺのGoogleによって開発されているために、その中でも特別扱いされる。
そんなPixelシリーズの長短はこちら。(斜体の項目はAndroidのメリット・デメリットとかぶる項目)
メリット
- 高い拡張性を誇り、様々なニーズに応えた設定が用意されている
- 豊富なアプリ数を誇る
- 2画面表示
- 写真が超キレイ
- OSサポート期間が長い
写真が超キレイ
カメラアプリのプレビューとの誤差が大きいが、仕上がった写真のクオリティーは圧巻。現在流通しているスマホの中で一番綺麗に撮れるといっても過言ではない。
OSサポート期間が長い
Googleが作っているスマホにGoogleが企画しているAndroidを搭載しているため当然ソフトウェアアップデートの最適化の速さや長期サポートが容易に実現する。
デメリット
- 自己責任が試される
- 対応アクセサリーが少ない
- 使用できるアプリのジャンルに偏りがある
- ハードウェア性能が低い
- ライバルが強すぎて影が薄い
ハードウェア性能が低い
PixelシリーズもiPhone同様にハードウェア性能に遅れを感じるスマホの一つである。おまけに最新機種からはCPUまでミドルレンジクラスに落とされてしまい、「使えなくはないがちょっともっさり」くらいに。
ライバルが強すぎて影が薄い
上記に加えて味気ないピュアAndroidの機能面によって1番の競合相手となる他Android機種に対して強く出られるのは実質カメラ調整能力の高さのみ。
中途半端に高い端末代と似たコンセプトでもCPU性能はトップクラスのiPhoneの存在によってますます立場がない。これを選ぶならば写真のために他全てを投げ打つ覚悟が試される。
比較
以上3点を踏まえて比較表にまとめる。Android機種はより正確な情報を届けやすいように価格帯で2つに分類することにしている。
項目 iPhone Android
(ミドルレンジ)Android
(ハイエンド)Pixel ハードウェア ・ディスプレイ ◎ △ ◎ ○ ・ディスプレイガラス △ ◎ ◎ ○ ・カメラ ○ ○ ◎ ○ ・セキュリティー ◎ ◎ ○ ◎ ・スピーカー ◎ △ ○ ○ ・ストレージ △ ○ ◎ ○ ・RAM △ △ ◎ ◎ ・CPU ◎ △ ◎ ○ ・バッテリー △ ○ ◎ ◎ ・拡張性 ✕ ◎ ◎ ◎ ソフトウェア ・アニメーション ◎ ○ ○ ○ ・ジェスチャ ◎ ○ ◎ ○ ・ビジュアル ◎ ○ ◎ ◎ ・バッテリー最適化 ◎ ○ ○ ○ ・マルチタスク ✕ △ ◎ ○ ・写真処理 ◎ ○ ○ ◎ ・ネットワーク △ ◎ ◎ △ ・SNS追加機能 ✕ ◎ ◎ ✕ ・2画面表示 ✕ ◎ ◎ ○ ・アクセシビリティ ◎ ◎ ◎ ○ ・プリインアプリ ◎ ○ ○ ◎ ・拡張性 ○ ◎ ◎ ◎ ・アプリストア登録数 ○ ◎ ◎ ◎ ・アプリストア網羅率 ◎ ○ ○ △ ・サードパーティアプリ △ ◎ ◎ ◎ ・セキュリティ ○ ◎ ◎ ◎ ロマン性能 ・画面内指紋認証 ✕ ○ ○ ✕ ・インディスプレイカメラ ✕ ○ ○ ✕ ・画面占有率 ○ ◎ ◎ ◎ ・リフレッシュレート △ ○ ◎ ○ ・ゲーミング機能 △ ○ ◎ △ ・冷却性能 ✕ ○ ◎ ○ ・クリエイティビティ ◎ ✕ ○ △ ・特殊付加機能 ○ ◎ ◎ ◎ ・タフネス △ ◎ ○ ○ ・美しボディ ◎ ○ ◎ ◎ その他 ・コストパフォーマンス ○ ◎ △ △ ・サポート期間 ◎ ○ ○ ◎ ・長期使用適正 ◎ ◎ △ ◎ ・購入のしやすさ ◎ ○ △ ◎
まとめ
今回は3つのスマホタイプの比較を行なってきたが、総評としてAndroidデバイスを購入することがほとんどのユーザーにとって最適解となりやすいだろう。iPhoneもGoogle Pixelも必ず何かしらの大きな犠牲を孕むことになるが、Androidデバイスを選ぶことで最小の妥協で済む確率が上がるからである。
つまりスマホ業界の王者はAndroidであるといって差し支えはない。
…っていうのが理想論である。
実際のところ日本市場において重視されがちな付加機能に関しては低価格たいのAndroidは非対応な可能性が高く、ハイエンドならその付加機能に対応している確率が上がるが、それはau、docomo、Softbankが販売しているキャリア版が対応しているからであり、SIMフリー版は相変わらず対応率は低い。
「じゃあSIMフリー版のAndroidが日本市場に本気で挑んでくれればその通りになるんだね?」と思うだろうが、現状ではそううまい話ではない。
日本市場を実質掌握している大手3キャリアの思惑、一般ユーザーの意識によって『スマホは3大キャリアで買うもの』『iPhone>アンドロイド』という思考が蔓延しており大手キャリアで買えないiPhone以下だと思われているAndroidを、それも高額帯のiPhoneに近い価格の機種を誰が買うだろうか?
さらにはiPhoneを販売しているAppleは日本市場のこともある程度熟知しており日本人が欲しいと思いやすい押さえどころをすでに確保してあるためどんなにAndroidが優秀でもその人気はそう簡単に崩せないだろう。
そしてiPhoneがより多く普及することでAirDropなどのAppleエコシステムがコミュニケーションツールとしても現実的に機能する。